とあるバハイ教徒の日記:第二支部

神の存在証明と地球温暖化防止

三菱重工も原子力事業で危機に立っている

http://yujimiyako.blog.fc2.com/blog-entry-14.html において、東芝が原子力事業を巡って経営危機に陥っていることを書いた。

それと同様に目下、三菱重工も原子力事業を巡って危機に立っているようだ(但し、東芝のように会社全体が潰れかねない規模ではない)。

東芝は子会社である米ウェスチングハウス社のAP1000という新型原子炉の建設が上手く行かずに大赤字を出した、という分かりやすい話だったのだが、三菱重工の場合は話が少し複雑である。

三菱重工は仏アレバ社と合弁会社「ATMEA社」を設立し、「ATMEA 1」という新型原子炉の開発をして来た。

この新型原子炉ATMEA 1は炉心溶解対策に加え、大型航空機が衝突しても耐えられるように設計されており、さらに地震対策も施されている。

しかし、そのATMEA 1が売れないのである。

まず、ほぼ受注にまで至っていたベトナムの原発建設計画が白紙撤回された。

他に、トルコにも売り込もうとしていたのだが、そちらも採算難ということでATMEA 1は目下、受注ゼロなのである。

それだけならばまだ傷は浅いのだが、三菱重工は経営難に陥っているアレバ社の救済に巨額の出資をしているのである。

福島原発事故は世界の原子力業界に大きな影響を与えてしまい、フランスでもアレバ社が経営難になったのだが、日本政府とフランス政府の原子力分野における協力に関するハイレベル対話が行われた。

そのハイレベル対話の結果を受け、三菱重工はアレバグループが設立する新会社「NewCo」に約2億5,000万ユーロ出資することで大枠合意した(2017年3月)。

さらに、4月になると、新たに設立するアレバの原子炉子会社「アレバNP」に三菱重工が約400億円を出資すると報じられた。

ということで、三菱重工は総額700億円をアレバに出資したことになる。

日経新聞は「三菱重工、仏アレバに苦渋の出資 原子力から引くに引けず」というタイトルの記事でこの出資を「先の見えない原子力事業への投資としては異例ともいえる規模だ」と書いた。そして、「社内の根強い懸念の声を振り切り、三菱重がこれにほぼ満額回答で応えたのは『20年、30年後にもう一度、原子力ルネサンスが来る』(関係者)可能性に賭けるから」と結論している。

さて、この三菱重工の賭けは当たるのだろうか?僕の予想では20年、30年後に来る原子力ルネサンスは、超高温ガス炉やトリウム溶融塩原子炉に移行していると考えるのだが、どうだろうか?

ブロクランキングに参加しています。
ぜひ『ぽちっ』と押してやってください。
   ↓
にほんブログ村 環境ブログ 地球環境へ
にほんブログ村

スポンサーサイト

PageTop

原子力発電は必要か

「原子力発電は必要か?」この問題はジャーナリズムの世界でも研究の世界でも極端に意見の分かれる問題である。これは福島原発事故が起こった後もあまり変わっていない。

例えば、NHKの解説記事「視点・論点 原発再稼働 必要性を考える(1)澤昭裕氏 (2)吉岡斉氏」の議論は、同じシリーズの記事であるにも関わらず結論が反対である。

澤昭裕氏は(1) 電気の安定供給を万全にすること(何かの電源が使えなくなくなっても、他の電源を使って何とか問題を表面化するのを防ぐというやり方はそろそろ限界。火力発電所は老朽化が進んでおり、また天然ガスや石油は輸入が不安定) (2) 二酸化炭素の排出を抑えること (3) 経済面への悪影響を取り除くこと(原発停止中に天然ガスや石油などの輸入が増加し、年間3~4兆円が輸入代金として国外に流れ出た。その結果、電気料金が上昇し、国内の消費に回るはずだった我々のお金は国外に流出し、このままではアベノミクスも失敗に終わるだろう) という3点から、原発再稼働は必要であるという。

他方、吉岡斉氏は、原子力発電は他の発電方式と比べてエネルギー安定供給、環境保全、経済性の観点から見て劣った技術であると主張する。エネルギー安定供給については、福島原発事故以降、多数の原子炉が一度にダウンし運転再開に長期間を要したことを見るように、最も安定供給性が劣るという。また環境保全性については有害化学物質や二酸化炭素排出が少ない一方で、事故による放射線・放射能の環境への大量放出のリスクをかかえ、また放射性廃棄物を生み出すという。経済性についても、使用済み核燃料を取り出してから最終処分するまでの費用が法外な金額となる恐れがあるという(更に、福島原発事故での損害額は現時点で11兆円、将来分も合わせれば数十兆円になるという)。

人間は誰でも主観で生きている。完全に客観的にはなれないから、ある問題について異なる意見が出るのは当たり前なのだが、原発問題ほど意見が分かれる題材は珍しい。エネルギー問題はイデオロギーとは異なるから、これほど意見が分かれる理由はないのであるが・・。

ちなみに、欧米諸国を見れば、ドイツ・イタリア・スイスでは原発全廃の路線、アメリカ・イギリスは慎重ではあるがやや原発推進路線、フランス・ロシア・東ヨーロッパでは原発推進の路線と国により路線が分かれている。中でもフランスは全発電量の約8割を原発に依存している。

日本において今後、原発推進路線が取られるかというと、それは難しいと僕は考える。それは日本が地震国という固有事情があるからである。福島原発事故ではたまたま季節風に乗って放射性物質が海上に拡散して行ったことが幸運だったが、もしあれが夏季に起こり海風に乗って陸上に拡散していれば、人の住めない地域がもっと広がっていただろう。したがって、廃炉に伴う新型炉へのリプレースはあっても、新設は政治的に難しいのではないかと考えている。

ただ、中国・インドなどの新興国では原子力発電所は増えていくだろう。

なお、IPCCの第5次評価報告書では2010~2029年までの原子力による二酸化炭素低減はさほど大きくなく、自然エネルギー、CCS(CO2回収・貯留)、省エネルギーの効果が原子力よりも大きくなっている(IPCC第5次評価報告書WG3のFigure SPM.9を参照)。

ということで、原発賛成・反対を巡っていくら騒いでも日本では「コップの中の嵐」であり、中期的には原発は現状維持、長期的には新エネルギーへの転換になって行くだろうと予想している。

ブロクランキングに参加しています。
ぜひ『ぽちっ』と押してやってください。
   ↓
にほんブログ村 環境ブログ 地球環境へ
にほんブログ村

PageTop

高温ガス炉の開発は中国がリードしている?

高温ガス炉と呼ばれる次世代原子炉技術がある。

これは一次冷却材に液体金属ではなくヘリウムを用いるガス直接冷却黒鉛炉である。減速材は黒鉛であり、軽水炉が燃料棒を用いるのに対し高温ガス炉では被膜された粒状の燃料の集合体あるいは六角柱型の燃料集合体を用いている。

このタイプの炉の利点は、福島原発事故で起こったような炉心溶融、水素爆発、大量の放射性物質放出のリスクがないことが挙げられる。例えば、日本で開発が進められているHTTR(高温工学試験研究炉)では、全電源喪失を想定した訓練を行い、その結果、全電源喪失が起こっても炉心の燃料が自然に安定な状態に落ち着くことを確認した(福島原発の場合は全電源喪失によりメルトダウンが起こった)。

日本における高温ガス炉の研究は1960年代から始まっており、1999年には出力30MWの試験運転を始めた。また、950℃という温度を利用した水素製造の試験にも成功している。

問題は、この高温ガス炉の開発成功はメディアであまり報道されないことである。そして、その陰では中国が急速にこのタイプの原子炉の研究開発を進めている。例えば、http://www.tepia.co.jp/tepiamonthly/pdf/tepia-monthly20160727.pdf の記事を以下に引用する。

(以下、引用 http://www.tepia.co.jp/tepiamonthly/pdf/tepia-monthly20160727.pdf

日本はまだ試験研究炉段階だというのに、中国では来年(2017 年)、20 万 kW の高温ガス炉(HTGR)実証炉が完成する。60 万 kW の実用炉の建設もスタートする。国内外で HTGRプロジェクトを積極的に進める中国核工業建設集団公司と中国を代表する原子力事業者の中国広核集団有限公司は 7 月 15 日、HTGR 専門会社を共同で設立する取決めを結んだ(=写真)。国内での HTGR 建設の促進に加え、世界に向けて HTGR の輸出をめざす。日中が覇を競ってきた HTGR 開発は、中国に軍配があがった。

(中略)

中国核工業建設集団公司は、HTGR の輸出にも積極的だ。2015 年 4 月には南アフリカ、16年 1 月にはサウジアラビアと HTGR 協力覚書を締結。また、インドネシアとの間でも同国のHTGR 実験炉に協力することで合意している。李克強首相は今年 4 月、中国の HTGR 開発拠点の清華大学を訪問した際、HTGR の海外展開を支持する考えを表明した。

これといった目立った動きのない日本が、中国に追い付くのはきわめて難しい状況になった。起死回生は望むべくもない。

(引用終了)

このように、遥かに長く高温ガス炉の研究を続けてきた日本が、あっさりと覇を中国に明け渡してしまったのである。この原因はひとつには高速増殖炉もんじゅと核燃料サイクルに開発エネルギーを集中させた国のエネルギー政策の失敗があるだろう。

このままでは、http://yujimiyako.blog.fc2.com/blog-entry-38.html に書いたようにトリウム溶融塩原子炉の開発においても中国に覇を明け渡すことになるのではないだろうか?

いずれにせよ、新エネルギーにおいては日本は研究レベルでは世界のトップに立ちながら、商用レベルになると他国にあっさり覇を明け渡す傾向が見られる。この体質は何としてでも改善せねばならない。

ブロクランキングに参加しています。
ぜひ『ぽちっ』と押してやってください。
   ↓
にほんブログ村 環境ブログ 地球環境へ
にほんブログ村

PageTop

「原発革命」トリウム溶融塩炉の技術が中国に追い上げられている

http://yujimiyako.blog.fc2.com/blog-entry-30.html で紹介した故・古川和男氏提唱の「トリウム溶融塩原子炉」だが、今、中国がこの技術の開発を急ピッチで進めている。

この理由は、地球温暖化対策もあるが、中国にはトリウム資源が豊富に存在することもある。

しかし、驚くのは中国政府のその熱の入れようである。

例えば、 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2013/siryo17/siryo2-2.pdf を見て頂くと、トリウム溶融塩炉の開発に2013年4月時点で約500名の研究者を動員しており、2015年には700名に増員すると書かれている。

それに対して、日本の研究開発は(株)トリウムテックソリューション http://www.ttsinc.jp/ という民間の一社だけが行っている(ちなみに、この会社は故・古川和男氏が設立した会社である)。

中国が国家プロジェクトとして700名もの研究者を動員しているのに対し、日本は民間のベンチャー企業一社という状況で、今後トリウム溶融塩炉の開発はどの国が主導権を握るのだろうか?今のままでは、中国に主導権を握られてしまうのではないだろうか?

新エネルギーの開発において中国に主導権を握られてしまうのは、 http://yujimiyako.blog.fc2.com/blog-entry-36.html に書いた通り、日本の安全保障上、非常にまずい。

繰り返しになるが、新エネルギー技術の開発において日本が世界のイニシアティブを取る限り、中国は日本との国交が正常ではなくなるような行為を慎むと考えられるからである。逆は逆であり、中国がイニシアティブを取ると、中国は日本との国交が正常ではなくなる行為を行ってくる可能性も考えられるのである。

このように考えると、憲法9条改正の問題よりも、新エネルギー技術の開発でイニシアティブを取り続けることの方が安全保障上、重要であると考えられる。憲法9条改正が「対症療法」であるのに対し、新エネルギー技術の開発でイニシアティブを取り続けることは「根治療法」なのである。

いずれにせよ、トリウム溶融塩原子炉を中国が大量の人員を動員して急ピッチで行っていることは、日本にとって安全保障上の脅威であり、ここで日本が技術的に負けてはいけないのである。

なお、故・古川和男氏がトリウム溶融塩炉「FUJI」を発明したのは1985年であり、もう30年以上前の話になる。しかし、古川氏は原子力業界で徹底的に干されてしまい、「FUJI」は実現しないままに亡くなられてしまった。それまで日本は一体何をしてきたのだろうか?

我々は故・古川和男氏にお詫びし、今後このような過ちを繰り返さないよう誓わねばならないのである。

なお、トリウム溶融塩炉を専門外の人にも分かりやすく説明した動画がhttps://www.youtube.com/watch?v=NhFw32vjyUQ にあるので、興味のある方は視聴して頂きたい。

ブロクランキングに参加しています。
ぜひ『ぽちっ』と押してやってください。
   ↓
にほんブログ村 環境ブログ 地球環境へ
にほんブログ村

PageTop

古川和男著「原発」革命について―安全で核拡散のない原発は実現するか?―

地球温暖化を防ぐためには、二酸化炭素の排出を抑えねばならない。

二酸化炭素の排出抑制にあたっては、色々な研究者が色々な事を言っているが、一番肝心なことは、二酸化炭素を発生しないエネルギー源を見つけなけばならない、ということである。

二酸化炭素を発生しないエネルギー源は、究極的には自然エネルギーと核融合だろうが、現時点では自然エネルギーだけでは世界のエネルギー需要をまかなうことは出来ないし、核融合については将来的にも実現可能かどうかさえ分からない。

そこで多くの研究者が言うことは、「当面は原子力に頼る」という事である。福島第一原発事故の後でさえ、彼らの多くは意見を変えていない。それほど、エネルギー問題と地球温暖化問題は矛盾しているのである。

僕のブログでは「エネルギー消費を1/10に減らす技術」 http://yujimiyako.blog.fc2.com/blog-entry-11.html 「加速器駆動未臨界炉」 http://yujimiyako.blog.fc2.com/blog-entry-22.html をエネルギー問題と地球温暖化問題の解決の解決に使うべし、と主張しているのだが、もうひとつのアイディアを取り上げた人がいるので、本日の日記はそれについて書くことにする。

それは、故・古川和男氏が提唱した「溶融塩原子炉」というものである。これはトリウムを核燃料に用いた液体核燃料サイクルで、溶融塩を一次冷却材として使用する原子炉である。実は、この技術を用いた原子炉はアメリカで1960年に実際に稼働しており、現在でもインド・中国で計画が進められている。つまり溶融塩原子炉はそれほど新しい技術ではないのである。

では、なぜトリウム溶融塩原子炉がこれまで日の目を見なかったのか?http://wired.jp/2012/05/03/thorium/ によれば、「それが核兵器に使えないからですよ(笑)」という事である。具体的に言うと、核兵器に使うプルトニウムの生産にはトリウム溶融塩原子炉は向いていないのである。

このトリウム溶融塩原子炉は古川和男氏によれば、安全であり、低コストであり、核拡散防止に貢献し、しかもこれまでに原発で生産された使用済み核燃料処理の問題解決に用いることが出来るそうである。

安全性については、燃料が液体であり、すでに溶けているからメルトダウン問題は起こらず、沸点も1500度という高温でかつ化学的に空気と反応することもない、とのことである。したがって、水蒸気や水素がたまって爆発するようなことはない。

コストについては、目標3円/kwhという事で現在の原発が10円/kwhであるのに比べると格段に安くなっている。

核拡散防止については、プルトニウムの生産に向かない事から、それが逆にこの技術の進展を妨げてきたという皮肉な歴史がある。神の最高の被造物であるはずの人類が、兵器技術の発展ばかりに熱を上げて来たとは一体どういうことだろうか?

このトリウム溶融塩原子炉は、トリウムを燃料として用い核燃料サイクルを行う点で「加速器駆動未臨界炉」と少し似ている。大きな違いは、トリウム溶融塩原子炉が臨界状態で運転するのに対し、加速器駆動未臨界炉は未臨界状態で運転する点にある。また、トリウム溶融塩原子炉はすでにアメリカで運転されていた点も異なる。では、なぜアメリカはこの技術を放置してしまったのか?恐らく、それは軍事転用に向かないので予算が付きにくい点が原因であると想像出来る。

いずれにせよ、古川和男氏はトリウム溶融塩原子炉による、核の平和利用とプルトニウムの根絶を訴え続けてきたので、日本の学会では完全に干されたまま人生を終えられてしまった。彼の考えは『「原発」革命』という本 https://www.amazon.co.jp/「原発」革命 にまとめられている。

なお、古川和男氏が提唱した技術は(株)トリウムテックソリューション http://www.ttsinc.jp/ という会社で技術開発が進められており、2030年までには技術を完成させることを目標としている。本来ならば、高速増殖炉によるプルトニウム核燃料サイクルに充てられた研究費用をトリウム核燃料サイクルの研究費用に当てればもっと早く技術が完成しそうに思うのだが、現実はそう甘く無いようで、(株)トリウムテックソリューションは完全に民間費用だけで開発しなければならないようだ。

ブロクランキングに参加しています。
ぜひ『ぽちっ』と押してやってください。
   ↓
にほんブログ村 環境ブログ 地球環境へ
にほんブログ村

PageTop